2026年9月19日土曜日

えんやす村のおはなし

──お金・外貨・借金の本質を考える


ここは100人の村。

その名も「えんやす村」

村人たちは温厚で勤勉。


20年前までは、自動車やラジカセをせっせと作り、

「Made in E」の製品は、

他の村で飛ぶように売れていました。


ところが、この村には困ったことがあります。

石油もLNGも小麦も、あまり採れない。

そこで、必要なものを他の村から買っています。



となりの大きな町「どるだか町」


えんやす村の隣には、

「どるだか町」という、

とても大きな町があります。

町長は、ときどき他の村にちょっかいを出したり、

派手な発言をしたりします。


それでも、町の経済力は圧倒的。

世界中の村が、

どるだか町の動向を気にしています。


えんやす村も、昔はどるだか町に自動車や

電化製品をたくさん売っていました。


その結果、どるだか町のお金を

たくさん持つようになりました。


ところが、、

最近は事情が変わりました。

えんやす村と同じような製品を、

他の村でも作れるようになったからです。


以前ほど、えんやす村の製品は売れません。



円安という問題


えんやす村とどるだか町では、

それぞれ別のお金を使っています。

その交換レートは変動制です。


昔は、

えんやす村のお金100円

=どるだか町のお金1ドル

くらいだったとします。


ところが今は、

200円=1ドルになりました。


つまり、

えんやす村のお金の価値が、

どるだか町のお金に対して

半分になってしまいました。


いわゆる「円安」です。


すると何が起きるのでしょうか。



Dphoneが高くなる


どるだか町で作られた

スマホ「Dphone」は、えんやす村でも大人気。

昔は10円だったDphoneが、

今では20円必要になりました。


どるだか町へ旅行するにも、

以前の2倍のお金が必要です。


もうひとつ困ったことがあります。

えんやす村は、石油やLNG、

小麦などを海外から買っています。


円の価値が下がれば、

輸入するために必要なお金が増える。


その結果、

パンも、電気も、ガソリンも高くなる。


つまり円安は、

「外国の商品が高くなる」

だけではありません。


輸入に頼っている国では、

国内の生活コストまで押し上げてしまう。



外貨とは何なのか?


ここで少し考えてみます。

「外貨って、いったい何なのだろう?」


えんやす村がどるだか町のお金を持っている。

これは単なる紙切れを

持っているわけではありません。


そのお金を使えば、

どるだか町の人が作った商品を買える。

サービスを受けられる。

企業を買うこともできる。


つまり外貨とは、

「外国の人たちが生み出す商品・

 サービス・資産にアクセスするための権利」

と考えることができます。


ここが大切です。

お金の向こうには人がいる

1ドル札を見ているだけでは、

「ただのお金」に見えます。


しかし、その1ドルで

スマホを買える。

旅行ができる。

サービスを受けられる。


なぜでしょう?


その裏側で、

どるだか町の人が働いているからです。


だから、

外貨を持つということは、

外国の人々が生み出す価値に

対する請求権を持つこと

とも言えます。


逆に言えば、

えんやす村が外国から

モノを買い続けるだけでは、

外貨はどんどん流出していきます。


だからえんやす村は、

自動車

半導体

精密機械

食品

観光

コンテンツ

文化

など、

「外国の人がお金を払ってでも欲しいもの」

を作り続けなければなりません。


結局、国の強さとは、

お金をたくさん持っていることではない。

「外国の人に何を提供できるか」

なのです。


えんやす村の

「借金」はどうなのか?


ここで、えんやす村の財政を見てみます。

・村の借金(国債):1,200万円

・どるだか村のお金(外貨):300万円

・村人たちの貯蓄:2,600万円


一見すると、

「借金1,200万円もある。大丈夫なのか?」

と思います。


しかし、

誰から借りているのか?

を見る必要があります。


もし1,200万円の国債を、

ほとんど村人自身が持っていたら、


村の中では、

「政府の借金」=「村人の金融資産」

でもあります。


政府から見れば負債。

村人から見れば資産。


だから単純に、

「国の借金=国民全体の借金」

と考えるのは少し違います。



「国内で持っていれば

 絶対安心」ではない


ここは注意が必要です。


国債を村人が持っているからといって、

何をしても大丈夫

というわけではありません。


国債が増えすぎれば、

・利払い費が増える

・金利上昇の影響を受ける

・民間への資金供給を圧迫する

・インフレにつながる可能性がある

などの問題が出てきます。


そして、もっと重要なのが、

「村全体で、何を生産できるのか」

です。


紙のお金や国債をいくら増やしても、

パンを作る人がいなければパンは増えません。

電気を作る人がいなければ電気も増えません。



2040年のえんやす村


そして、ここで「8がけ社会」が登場します。


現在100人いる村人が、

2040年には80人になってしまいました。

働く人も減りました。


パンを作る人も、

家を建てる人も、

介護をする人も、

道路を直す人も、

20%減っています。


さて。

この村で、

国債が5倍なったらどうなるでしょう?


借金は雪だるま式に増えていき、

その分利払いも増えるので、

村の税収の多くを利払いに充てる

ことになります。

それでは成り立たないので

村の予算を増やし、国債も増やしていきます


インフレは加速していきます。


ただお金(金融)だけをみていると

問題の本質は見えてきません。


紙の上では、お金は増えます。

しかし、

人間は増えません。

これが8がけ社会の怖さです。



本当の国の財産とは何か


ここで、えんやす村の財産を考えてみます。

国債でしょうか。

現金でしょうか。

外貨でしょうか。


もちろん、それらも重要です。


でも、本当の意味で村を支えているのは、

村人が持っている技術や知識。

働く能力。

企業が生み出す製品。

インフラ。

教育。

信頼。


そして、

「他の村からお金を払ってでも欲しい」

と思われる価値。

なのではないでしょうか。



えんやす村が目指すべきこと


100人の村が80人になる。

これは避けられない。

だったら、

80人で100人分の価値を生み出す。


あるいは、

80人だからこそ生み出せる価値を考える。


そして、これからは、

「人が減っても社会を回せる仕組み」

そのものも輸出できるかもしれません。



えんやす村から学ぶこと


この小さな村の話から、

3つのことを考えました。


①円安は「日本の価値」が問われる現象

円安になると輸入品は高くなる。

しかし、それだけではありません。

「外国の人が日本の商品やサービスに

 どれだけ価値を感じるのか」

という問題でもあります。


②国の借金は「誰から借りているか」が重要

政府の借金を見るとき、

金額だけを見るのではなく、

誰が国債を持っているのか。

を見る必要があります。

国内で循環している借金と、

外国に対する債務では意味が違います。


ただし、

国内保有だから無条件に安全

という話でもありません。


③8がけ社会では

「稼ぐ力」がますます重要になる

人口が100人から80人になる。

だったら、

一人ひとりが生み出す価値を高める。

そして、

外国から必要なものを買えるだけの

稼ぐ力を維持する。


これが、国を「壊れにくくする」

ために必要なのだと思います。


お金の向こうには人がいる

・1万円札の向こうには、

 そのお金を受け取る人がいる。

・国債の向こうには、

 それを持っている人がいる。

・外貨の向こうには、

 その国で働く人がいる。

 

そして円安の向こうにも、

日本と外国の人々が、何を作り、

何を交換するのかという現実がある。


結局、

お金だけを見ていても、

経済の本質は見えてこない。


その向こう側で、

誰が働き、

何を作り、

誰がそれを必要としているのか。

そこまで考えてみる。


それが、

「お金の向こうに人がいる」

ということを伝えるお話しでした。😉








 

2026年9月12日土曜日

敗者の選択


──「悪すぎない」を選ぶ生き方


金利が上昇し続けている。

住宅ローンを組んだ家庭への影響は、

じわじわと広がっていく。


一般的な4人家族のマイホームモデルは、

厳しいフェーズに入りつつある。


私たちはどんなマインドで

生きていけばいいのか。



「勝ち組」を目指すことの罠


世の中は「勝ち組/負け組」

という言葉が好きだ。


・年収1,000万円以上が勝ち組

・タワマンに住めば勝ち組

・早期リタイアできれば勝ち組


しかし、金利上昇/インフレの状況で

大きく勝つことを目指すことには

リスクが伴う。


「大きく勝とうとするほど、

 壊れやすくなる」からだ。


・株価が上がり続けると信じて

 レバレッジをかける。

・FIREを目指して全資産を
 
 高リターン商品に集中投資する。

これらはすべて、「大きく勝つ」ための選択だ。

しかし裏を返せば、

「環境が少し変わっただけで壊れる」選択でもある。



テニスの「敗者の美学」


ここで一つの比喩を使いたい。

テニスで相手のサーブを受けるとき、

二つの戦略がある。

一つは、リターンエースを狙うこと。

強打で一発逆転を狙う。成功すれば派手だ。

しかし失敗すれば即失点。リスクは高い。

もう一つは、ラリーを続けること。

とにかく返し続ける。相手のミスを待つ。

大きなポイントは取れないが、

ゲームに残り続けられる。

「大きく勝とうとしない」ことで、

ゲームに参加し続けられる。

これが「敗者の選択」の本質だ。



「悪すぎない」という戦略

「敗者の選択」を
 
もう少し具体的に言い換えてみよう。

それは、「悪すぎない」を選び続けることだ。

・最高の家は求めない。
 しかし「住めない家」は選ばない
・最高のクルマは求めない。
 しかし「壊れる車」は選ばない
・最高のリターンは求めない。
 しかし「全損するリスク」は取らない


「最高」を求めないからこそ、

環境が変わっても動ける。

金利が上がっても返せる。

株価が下がっても慌てない。

「悪すぎない」選択の積み重ねが、

壊れにくい人生を作る。


「壊れにくい」とは
 どういうことか


「壊れにくい」とは、

環境が変わっても動じないことだ。

金利が上がっても返せる住宅ローン。

株価が下がっても慌てない資産配分。

収入が下がっても維持できる生活水準。

これらは、「欲望を我慢した結果」ではない。

「長く続けるための設計」だ。


「惜敗」を積み重ねる


人生は、一発勝負ではない。

20代の試合が終わっても、

30代の試合がある。

40代の試合があり、

50代、60代にも試合がある。

だから、


一度の大勝ちにすべてを賭ける必要はない。

ラリーを続ければいい。


勝てなくても、

次の試合に出られるなら、それでいい。


気がつけば、

「悪すぎない」という選択の積み重ねが、

人生を守ってくれている


それが敗者の哲学である。







 

2026年9月5日土曜日

読んで良かったゼ本[2026その3]

 

最近良かった本を紹介!









北極星 僕たちはどう働くか[西野亮廣 著]


『夢と金』から3年ぶりとなるビジネス書。

 34時間で4億8,000万円を集めた

 クラウドファンディングや、ブロードウェイ

 舞台のプロデューサーなど、日本人が誰も

 経験していないスケールの挑戦から得た

 知見を詰め込んだ一冊。


☆前作に続き、独特なキレ味のある内容。

 特に事業投資型クラウドファンディングや

「迷いと悩みは別モノ。」といった見解は

 秀逸である。

















 [麻布競馬場 著]

 地方から夢を抱いて東京に出てきた若者たちの

「その後」を描く22の短編集。

 スケールの挑戦から得た知見を詰め込んだ一冊。

 高学歴・大企業に入ったはずなのに、

 虚しさと諦念の中で生きる都市生活者の姿を

 独白体で鮮烈に切り取る。

 

☆高学歴だけど社会に馴染めない若者。

 背伸びして都会で暮らしてるけど

 ドロップアウトしかかってるヒト。

 みんな満たされていないという共通点がある。

 タワマン文学として秀逸である。











 




人文知は武器になる[山口周・深井龍之介 著]

 AIが「正解を出すこと」を代替していく時代に

 哲学・歴史・文学などの

「人文知」こそが武器になると説く対談本。

 山口周氏が「美意識」「アート思考」

 の観点から、ビジネスパーソンに求められる

「Whyを問う力」と「問いを立てる力」

 を語り合う。


☆「何をできるか」より「なぜするか」。

 先のブログで紹介した"能力より希少性"の

 着想はここにある。

















多類婚姻譚[凪良ゆう]

 現代における愛と婚姻の5つの物語

 セクシュアリティ、金銭感覚、

 世代間格差、成育環境など、

 ブログ希少性論の原点はここにある。

 あらゆる価値観が対立する中で

「一緒に生きること」の難しさと祈りを描く。

☆結婚という人生の大イベントを通して

 地方出身者の「重力」や23区出身者の

「身軽さ」を鮮やかに描く。
 
 オススメな一冊






 [泉房穂・福田充 著]

 泉房穂氏が危機管理学者・福田充と対談。

 国民負担率が5割近くに達した日本で、

 なぜ国民の生活は豊かにならないのか。

 税制・社会保障・地方自治の歪みを解明し、

「企業を応援する政治から 

 国民を応援する政治へ」

 の転換を具体的な政策論とともに提示する。


☆「中負担・低福祉」という

 日本の構造解説論は腑に落ちた。

 お金を再分配する公的役割の重要性は

 理解していたつもりだか、泉さんの

 持論はさらに社会派の政治家として

    参考になる。















 麻布競馬場が描く「東京の孤独」

 凪良氏が描く「一緒に生きることの難しさ」

 この2冊は、

 現代社会で、他人との繋がりを維持する

 難しさを今風に表している。

 都会で軽やかに生きていける

 "箱"は用意されているのに

 なぜか社会でうまくやれない。

 本を読む中で思ったのは

 人々の暗黙知という要因もあるのではないか?

 スキルとセンスの領域で言えば

 センスの領域。

 AI利用ではなく、コドモのうちから

 たくさんヒトと接すること

 言わば他流試合をすることで

 学べる領域と言える。

 
 

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2026年9月1日火曜日

目に見えないものに委ねない【特別編】

──ブラックボックス化する世界と

 「個人のレジリエンス」


9月1日は「防災の日」だ。


しかし今年の防災の日に、

私が考えたいのは備蓄の量でも避難経路でもない。


もっと根本的な問いである

「私たちは今、どれだけ自分で考え、

 判断できているのか。」



便利さと引き換えに失った

「中身のわかる世界」


ふと見回すと、私たちの身の回りには

「目に見えないもの」「仕組みが分からないもの」

が溢れている。


かつて、家電や機械は壊れても裏蓋を開ければ

仕組みがなんとなく分かった。

簡単な修理なら自分でできた。


しかし現代の製品は

高度にブラックボックス化し、

不具合が起きれば専門業者に依存するしかない。


そして今、

そのブラックボックス化の最高峰として

私たちの生活に深く根を下ろしているのが

——**AI(人工知能)**だ。


手のひらのスマホを開けば、

AIが次の行動を提案し、文章を整え、

最適なルートを指示してくれる。

私たちは思考のコストを削減し、

圧倒的な利便性を享受している。


しかし、ここで一つの問いを投げかけたい。


「仕組みも分からない巨大なブラックボックスに、

 私たちは自分の生活や判断を

 どこまで委ねていいのだろうか?」


社会の脆弱性と「生命力の低下


社会全体がAIやデジタルインフラに

過度に依存した構造は、極めて脆弱だ。


万が一、大規模なサイバー攻撃や

未曾有の自然災害によって電源喪失が起きれば、

社会機能は一瞬で麻痺する。


どれほど優秀なAIであっても、

電気という一次インフラが絶たれれば、

ただの無機質な箱に過ぎない。


災害時に私たちが真に確保すべきなのは

「高度なアルゴリズム」ではなく、

命を繋ぐ「水」と「電源」だ。


しかし問題は社会構造だけにとどまらない。


個人レベルの「人間性」や「生命力」にも

及んでいる。


何でもAIやスマホに頼り、自ら考えたり、

身体を動かす機会を放棄し続けると、

個人の生存力(レジリエンス)は衰退していく。


思考や判断を外部のブラックボックスに

丸投げした状態は、危機に瀕したとき、

あまりにも無力だ。


個人のレジリエンスを

高める2つの処方箋


非常時に大切な人を守るために、

私たちが今すぐ取り組むべきは

「個人のレジリエンス(立ち直る力・適応力)」

を高めることだ。


そのためには、

二つのアプローチが必要だと考える。



①物理的備蓄の確保

 ──インフラのバックアップ


スマホの画面上でどれだけ情報を持っていても、

水が出なければ生きられない。


水と非常用トイレの確保: 

最低でも数日分の飲用水と衛生環境を保つ備蓄

アナログな手段の確保: 

電源が落ちても機能するポータブルバッテリー、

手回しラジオ、アナログな地図


これらは「念のため」ではなく、

「必ず来る日のため」の準備だ。


インフラは必ず老朽化し、

必ず想定外の事態が起きる。

「まさか」は、いつか「やはり」になる。



②「デジタル断ち」による

 自力の再構築


AIやスマホを使わない「自力」を鍛えること。


体力と直感力:

自分の足で歩き、

現場の状況変化を五感で察知する力

判断力と決断力:

  検索結果やAIの提示に頼らず

「今、どう行動すべきか」を

自分の頭で考え抜く習慣


週末に一度、スマホもAIも一切使わずに

1日を過ごしてみることは有用だ。


自分がどれほど外部の端末に判断を

委ねていたかに気づくはずだ。

同時に、五感を使って考え、行動する感覚

——いわば「野生の生命力」が呼び覚まされる。


「個人が強くなること」が

「社会を強くすること」だ


個人のレジリエンスを高めることは、

単なる「自己防衛」や「打算」ではない。


自力で生き延びる力を持つ人間が増えれば、

その分だけ公的支援や救助の手を、

本当に助けを必要としている高齢者や子ども、

負傷者へと振り向けることがきる。


「個人が強くなること」は、

社会全体の「共助の力」を

高めることに直結している。

8がけ社会では、行政や専門機関の救助(公助)

に限界がある。


一人ひとりが

「自分の足で立ち、判断できる個」となり、

お互いを支え合うこと。


それこそが、縮小していく社会を生き抜く作法だ。


田内学さんの言葉を思い出す。

「お金の向こうに人がいる。」

同じように、災害の向こうにも、人がいる。

停電した街の向こうに、水が届かない家庭がある。

道路が寸断された集落の向こうに、

助けを待っている人がいる。


AIもスマホも使えない極限の状況で、

最後に頼れるのは——

自分の判断力と、隣にいる人間だ。



結び──今日という日に


目に見えない便利すぎるシステムに、

全幅の信頼を置くのはやめよう。


防災の日に、自宅の備蓄を点検するとともに、

自分自身の「生命力」と「判断力」の現在地を、

静かに見つめ直してみたい。


壊れにくい社会は、

壊れにくい個人の集まりから生まれる。


★まもなくアジア大会!









2026年8月29日土曜日

拝啓パワーカップル様

 

 拝啓


 住宅ローン50年を組んだ

 パワーカップル様


 あなた達こそ日本の宝です。


 あなたたち夫婦は 

 都内の新築マンションを8000万で買い、

 病める時も健やかな時も

 毎月20万程度のローンを

 夫婦で50年間ずっと払い続ける未来が

 待っています。


 あなた方ご夫婦が 互いに29才とすると

 50年ローンで79才まで

 払い続けることになります。


 私はお世辞でもなく、嫌味でもなく、

 あなた方お二人を本当に

 日本の宝だと思います。


 だって、

 少子化で8がけ社会と言われる

 日本でこれから50年にもわたって

 労働市場に残り

 夫婦共に働いてくれるなんて

 こんなに心強いことはありません。

 

 二人共、銀行からお墨付きをもらっている

 社会的な信用もあり、

 社会性と良識のある人間です。


  生涯独身を選ぶ人もいる。

  FIREを目指す人もいる。

  転職を繰り返す人もいる。


 それぞれに、それぞれの人生戦略がある。

 ただ、あなた方は違う。


 住宅ローンという巨大な契約を背負い、

 二人で働き続けるという、

 極めて社会貢献度の高い選択をされた。


 二人の覚悟には敬意を抱いております。


 それにしても銀行様の

 巧みな戦略には舌を巻きます。


 ペアローンという巧みな合わせ技で、

 50年間ずっと利息を受け取り、

 最終的に1.5倍のお金を払ってもらう

 契約書にサインさせるのですから 


 いうなれば

 教会で神父様は

 神の前で互いの愛を確認しますが、

 神父様ご本人でさえ、

 50年変わらぬ愛と支払いは誓えないと

 思います。


 結婚式を思い出してください。

 神父様のおっしゃる通り、

 50年の間にはいろいろ懸念されます。

 大雨特別警報/ゲリラ豪雨/スーパー台風

 内水氾濫/酷暑/巨大地震

 金利上昇/

 旦那の浮気/キャバクラ/マッチングアプリ

 まさに”病めるとき”もあると思います。


 ですが、

 「その時はその時」と割り切り、

 大きな決断をされたお二人に

 どうか神のご加護と祝福がありますように。