−会社ではなく
その組織を選択−
23年間、一度も転職しなかった。
その話をすると、こう聞かれる。
「その仕事が向いていたんですね」
「転職する勇気がなかったんですか?」
どちらもちょっと違う。
自分が一つの組織に残り続けた
理由はもっとシンプルだ。
その組織が、最もリターンの
良い選択と思え続けたからである。
就職氷河期世代の選択
自分は就職氷河期世代だ。
同年代には、非正規雇用を選ばざるを
得なかった人もたくさんいた。
転職市場も今ほど活発ではなかった。
しかし、上記の理由だけで
「一社に勤め続けた」のではない。
理由は以下だ。
①大きな組織は
「人材の図書館」である
大企業に所属する価値は、
建物でもブランドでもないと思っている。
**人的リソースの充実だ**
法務の専門家。
技術者。
営業。
財務。
品質管理。
安全管理。
それぞれが長い経験を積んだ
優秀なプロフェッショナルが
各部門に配置されている。
分からないことがあれば、
組織内の誰かが答えを持っている。
私はこの環境を、
「人材の図書館」だと思っている。
本を読むように、人から学べる。
これは、大きな組織ならではの財産だ。
②見えない資産が
静かに積み上がる
2つ目の理由は社会的信用だ。
長く同じ組織で働く人は、
* 銀行から信用される。
* 取引先からも信用される。
これらは履歴書にはあまり書かれないが
最大の無形資産と言える。
他の組織が個人を評価する場合、
「どこで、どれだけ働き続けているか」
を評価対象とする場合が多いのだ。
信用とは、一日で得られるものではない。
時間という複利で増えていく資産だ。
③ 管理職になって見えた景色
最後に挙げる理由は
若いうちは、自分の仕事しか見えない。
「この仕事は向いていない。」
「部署を変わりたい。」
自分もそんなことを何度か思った。
しかし、管理職になって見えた景色もある。
組織は、一人の力では動かない。
売上も、利益も、人材育成も、
多くの人の力を束ねて初めて成果になる。
担当者だった頃には見えなかった世界だった。
もし20代であっさり辞めていたら、
この景色は知らなかったかもしれない。
転職を否定しない。
もちろん、転職が正解になることもある。
価値観が合わない。
成長できない。
健康を損なう。
そんな環境なら、離れる検討や行動も必要だ。
私が伝えたいのは、
「転職するな」ではない。
一社に残ることも、転職もどちらも戦略である。
感情だけで決めるのではなく、
今の給料で決めるのでもなく
5/10年先に
自分にとって意味があるのかを考えてみる。
8がけ社会では、
「壊れにくい組織」が
価値になる
人口が減る。
働き手も減る。
企業の廃業も増える。
そんな時代は
組織を見る視点も変わるはずだ。
組織内に大企業のような
優秀な人材がたくさんいなくても、
AIが補ってくれることで
個人が大きな組織同様の
アウトプットができる未来がやってくる。
となると、
選ぶ基準は以下のようになる。
その組織が
・10年後、20年後も社会に
必要とされる存在なのか。
・新しい事業を生み出せるのか。
・人を育て続けられるのか。
自分はたまたま
フラットに天秤⚖️にかけて
23年間残留しただけだ。
しかし今後の自分を取り巻く変化は
いままでより大きい。
・AIで個人の生産性が劇的に向上する
・コドモがあと数年で独立
・金融資本が充実してきている
就職氷河期の時のように
会社から選ばれるのではなく、
今後は自分自身が
組織を選択する番だと考えている。
需給バランスで翻弄された
就職氷河期世代のささやかな逆襲
なのかもしれない。






