マンション価格は、
これからさらに高くなるのではないか。
モラリストはそう予測している。
もちろん、「必ず上がる」
と言っているわけではない。
そう思える根拠を示す。_φ(・_・
金利が急上昇すれば、
住宅ローンを組める人は減る。
景気が悪化すれば、買い手も減る。
人口減少も長期的には住宅需要を押し下げる。
それでも、
都市部の駅チカマンションには、
価格が下がりにくい構造がある。
そう考えている。
理由は、大きく3つある。
① 土地が買えなくなっている
まずは、土地だ。
15年前なら、
「駅から徒歩数分なのに、
こんなに広い土地が残っている」
という場所が、まだあった。
中古車販売店だったり、
大きな駐車場だったり、
古い工場だったり。
失われた30年と言われた不景気の中、
手放すヒトはたくさんいたが
買い手は不在だった。
デベロッパーはそうした土地を買って、
マンションを建てることができた。
ところが今は違う。
駅に近い土地には、
マンションだけではなく、
ホテル、オフィス、商業施設もライバルだ。
つまり、
マンション同士だけで
土地を奪い合っているわけではない。
駅チカの土地そのものを、
いろいろな用途が奪い合っている。
実際、国土交通省も
現在の住宅価格上昇の要因として、
都心部などの堅調な住宅需要を背景とした
用地取得費の上昇を挙げている。
さらに2026年の地価調査でも、
全国の住宅地は5年連続で上昇。
三大都市圏でも上昇が続いている。
デベロッパーは
どうしても欲しい土地なら、
「この価格でなければ売らない」
という売り手の条件を飲まざるを得ない。
つまり、
土地価格が上がる
↓
マンション原価が上がる
↓
販売価格も上がる
という構造になる。
② 「作る人」が減っている
2つ目は、
建設業の担い手不足だ。
国土交通省によれば、
2026年8月時点の建設業の8職種では、
全国で1.3%の不足となっている。
前年同月は0.9%不足だった。
さらに建設技能者は、
60歳以上が約4分の1。
29歳以下は約12%。
国交省も、
将来の担い手確保を「急務」としている。
つまり、
土地があっても、
お金があっても、
建物を作る人が足りなくなる。
ここが大きい。
しかも、建設業がマンションだけを
作っているわけではない。
工場も作る。
物流施設も作る。
データセンターも作る。
オフィスも作る。
インフラも作る。
つまり、限られた建設労働力を、
いろいろな建物が奪い合う。
人が減る社会では、
「何を作るか」だけでなく、
「誰が作るのか」が重要になる。
作り手が少なくなれば、
労務費にも上昇圧力がかかる。
土地が高い。
材料も高い。
人件費も高い。
マンションの原価は、簡単には下がらない。
③ 「買える人」が価格を押し上げる
3つ目は、買い手側の変化だ。
ここが少し面白い。
マンション価格は、
「原価+利益」
だけで決まっているわけではない。
もちろん原価は重要だ。
しかし、デベロッパーにとって重要なのは、
「この価格で買える人が、どれくらいいるのか」
ということでもある。
例えば、
5,000万円まで借りられる人が中心だった市場で、
世帯年収の上昇や
住宅ローン期間の長期化によって、
6,000万円まで借りられる人が増えたらどうなるか。
市場で成立する価格帯も変わってくる。
近年はペアローンや
長期の住宅ローンも広がっている。
夫婦2人の収入を使い、
さらに親から頭金の援助を受ける。
すると、
「自分たちの収入だけでは
買えなかったマンション」が、
「なんとか買えるマンション」
に変わる。
いわゆる、パワーカップル+太い親
である。
もちろん、これはすべての世帯に
当てはまるわけではない。
むしろ、
住宅価格の上昇によって購入できる世帯と、
できない世帯の差が広がる可能性もある。
それでも、
「買える人がいる限り、価格が上がる余地は残る」
ということだ。
④ インフレだけでも、2040年には1.32倍
もう一つ、忘れてはいけないことがある。
物価だ。
仮に年間2%の物価上昇が続いたとする。
10年では、
約1.22倍。
14年では、
約1.32倍。
つまり、
2026年に5,000万円だったものが、
同じ5,000万円のままでは、
実質的には価値が下がっていく。
もちろんマンション価格が物価と
同じように上がるとは限らない。
しかし、
土地
+
建設資材
+
労務費
+
設備
+
販売費
が上昇する環境では、
「昔と同じ価格で作る」こと自体が難しくなる。
⑤ では、マンションは永遠に上がるのか?
ここは注意が必要だ。
ワタシは、
「マンション価格は永遠に上がる」
と言いたいわけではない。
むしろ、
二極化する
と考えている。
人口が減れば、
すべてのマンションの価値が上がるわけではない。
駅から遠い。
買い物が不便。
人口が減っている。
建物が古い。
管理状態が悪い。
こうした物件には、価格下落の圧力がかかる。
一方で、
駅に近い。
交通が便利。
病院や商業施設がある。
再開発が進む。
仕事が集まる。
人が集まり続ける。
こうした場所では、
人口減少そのものが、
逆に集中を生む可能性がある。
100人の村が80人になった。
では、
村全体が均等に20人減るのか。
そうとは限らない。
山間部から20人減る。
郊外からさらに減る。
そして駅前に人が残る。
すると、
100人→80人
になったのに、
駅前だけは人が減らない。
むしろ、
人・店・病院・学校・交通・お金が、
そこに集まってくる。
⑥ 「買うか、借りるか」は難しくなる
では、
「高いから賃貸でいい」
という選択はどうなのか。
もちろん、それも一つの選択だ。
住宅ローンを背負わなくていい。
価格下落リスクも負わない。
ライフスタイルも変えやすい。
ただ、
「いつか買おう」
と思っている人にとっては、
少し難しい問題になる。
5,000万円だったマンションが、
5,500万円になった。
「もう少し待とう。」
さらに、
6,000万円になった。
「もう少し待とう。」
そして、
6,500万円になる。
このとき、
「待つことで安くなる」
とは限らない。
むしろ、
待っている間に価格が上がってしまう
ということもある。
もちろん逆もある。
金利が上昇し、
景気が悪化し、
住宅需要が落ちれば、
価格が下がることもある。
だから、
「今すぐ買うべき」
という話ではない。
⑦ 大切なのは「マンション価格」ではない
ワタシが考える上で重要なのは、
「マンションが上がるか、下がるか」
だけではない。
もっと大きな問題がある。
それは、
「人口が減っていく日本で、どこに人が残るのか」
ということだ。
人口8がけ社会では、
土地の価値も8がけになる。
そんな単純な話ではない。
100人の村が80人になれば、
人がいなくなる場所と、
人が集まる場所が生まれる。
だから、
「日本の人口が減る」
と聞いたとき、
ワタシは、
「じゃあ不動産は全部下がる」
とは考えない。
むしろ、
「人はどこに集まるのか?」
を見る。
駅。
都市。
病院。
大学。
職場。
商業施設。
再開発地区。
そして、
それらを結ぶ交通網。
最後に
マンション価格が、
これからさらに上がるのか。
誰にも分からない。
金利が上がれば、
住宅ローンを組める人は減る。
景気が悪くなれば、
需要も減る。
だから、
「絶対に上がる」
とは言えない。
それでも、
土地が高くなる。
作る人が減る。
資材・労務費が上がる。
物価が上がる。
そして、
人が住みたい場所には、
買いたい人が残る。
この5つを考えると、
都市部の駅チカマンションには、
今後も価格を押し上げる力が働きやすい。
そして、
人口8がけ社会では、
「どこにでも住める」
時代から、
「人が残る場所を選ぶ」
時代へ変わっていくのではないだろうか。
マンションの価値とは、
単に、「建物の値段」ではない。
その場所に、
これからも人が集まり続けるのか。
その値段なのかもしれない。




