2026年4月18日土曜日

壊れにくい資産とは


私たちは、

「資産を増やせば未来は守られる」

と信じた世界で生きている。


新NISA、投資信託、不動産、現金。


しかし、2040年に向かう「8がけ社会」

将来への安心は

それだけでは得られない。


その理由は

お金の向こう側には、

必ず“人の労働”があるからだ。


例えばパンを買うとき、

私たちは200円を支払う。

だが、パンそのものは

お金から生まれたわけではない。


小麦を育てた農家

深夜に走る配送ドライバー

店頭に並べるスタッフ


その労働の積み重ねが、

私たちの生活を支えている。


しかし「8がけ社会」では

人口が減り、働く人が減り、

サービスを提供する側が細っていく。


金という“交換券”はあっても、

交換してくれる相手がいない。


この構造が、私たちの問題だ。


そんな時代に

「壊れにくい資産とは何か」  

を問い直してみる。


壊れにくい資産とは、

単に価格が下がりにくいものではない。


未来の労働を確保できる資産のことだ。


人間関係はなにより大切な資産だ。

困ったときに助けてくれる

友人、家族、地域のつながり。


これは、貨幣では買えない

“自分を守るネットワーク”であり、

お金よりも壊れにくい。


次に掲げるスキルや健康も壊れにくい資産だ。

自分が働けるということは、

「自分自身が未来の労働力を持っている」

ということだ


そして、モラリストは3つ目に

不動産を挙げる。

家賃とは、

未来の誰かが「住む」という行為を通じて

提供される対価だ。


生活圏の価値が高い場所は、

そこに人が集まり、働き、暮らし続ける。

未来の労働が集まり続ける場所である。


こうして見ていくと、

壊れにくい資産とは、

未来の労働を生み続ける仕組み  

とわかる。


逆に、壊れやすい資産とは何か。

それは、数字だけが増えていく資産だ。


株価、仮想通貨。

これらは実体経済とは異なり、

共同幻想の世界だ。

期待値という風船が破裂した瞬間、

数値は大きく損なわれるので、

全ツッコミはすべきではないと思う。


これからの時代、

私たちが守るべきは数字ではなく、

「人が動き続ける場所」

「人が助け合う関係」

「人が働き続ける仕組み」  

である。


「お金の向こうに人がいる。」


その当たり前の事実を忘れないとき、

実態経済に目を配り、

私たちは“壊れにくい未来”

を選び取ることができる。




2026年4月11日土曜日

外部環境に左右されない「充足」の作法


前回の記事で、

ガソリンを例に「価格」と「価値」の

違いを考えた。


140円/Lの時も、180円/Lの時も、

クルマを同じ距離を走らせるという

「価値(効用)」は変わらない。


変わったのは、

外部の情勢が決定した「値段」という数字だけだ。


私たちの現代社会は外部環境という

”相場”の世界で生きている。

・物価の上昇

・株式の時価総額

・繁忙期で値段が変わる

 チケットや宿泊料金

 →ダイナミックプライシング

それらに振り回され、

自分の幸福感も外部環境に大きく

依存してしまっている。


他者目線の価値観が強くなると、

「高いモノを身につけたり、所有して

 自分を大きく見せる」

「休日はどこかに出かけて

 SNSでキラキラ生活の投稿」

自分が自ら欲するものではないもので

埋め尽くされてしまう。



①「高燃費な生き方」を模索する

高燃費な生き方とは少ない外部コストで、

最大限の「生の実感(価値)」を

引き出すセンスの領域と言える


例えば、

・丁寧に淹れた一杯のお茶。

・夕暮れ時に、空の色が刻一刻と

 変わるのを眺める数分間

・お気に入りの万年筆で日記を綴る所作


これらにかかる「価格」はそんなに大きくない。

しかし、そこから得られる充足という名の

「価値」は、私たちを高い場所へと

引き上げてくれる。


外部の相場がどれほど高騰しようとも、

自分を満足させる方法を

「自分自身の内側」に持っている人は強い。


② 外部の「価格」に、内なる「価値」を渡さない

ネット証券の評価額に一喜一憂し、

中東情勢のニュースに心を乱す。

それは、自分の心のハンドルを

「外部の価格」に預けてしまっている状態だ。


スキル: 効率的に資産を増やし、流行を追うこと。

センス: どんな環境下でも、平凡な日常に

     価値を見出し、機嫌よく生きること。



ガソリンの値段は、

自分ではコントロールできない。

だが、そのガソリンを使って

「どこへ行き、何を感じるか」は

いつだって自分次第である。

 


2026年4月4日土曜日

値段(価格)と価値(効用)の違い

 

前回のブログ

椅子を奪い合うか、椅子を守り抜くか」の中で、

値段と価値の違いに触れた。

今回はここをもう少し深掘りしてみたい。


田内学氏の著書『お金の向こうに人がいる』では、

本質的な問いが投げかけられている。

「日本のお金全体は増えていない。

  富は移動しているだけだ」と。


お金は、主に3つの財布の間を

移動しているに過ぎない。

① 個人の財布

② 企業の財布

③ 国の財布


「国の借金が膨大だ」というニュースが流れるが、

誰かの借金は、必ず別の誰かに払ったから

借金になっている。利子も誰かに払っている。

国が借金を増やした分、

私たちの銀行口座の数字(資産)も増えている。

具体的には

①国の借金(国債): 約1,200〜1,300兆円

②家計の貯蓄(個人): 約2,100兆円

③企業の内部留保: 約1,300兆円


数字が移動しているだけで、

実態としての「富」が

消えてなくなったわけではない。


1 「日経平均5万円」の正体

鋭い方はこう指摘するだろう。

「日経平均が5万円を超え、

世界の時価総額は増え続けている。

富は増えているじゃないか」と


ここに、「値段(価格)」と「価値(効用)」

の決定的な違いがある。


17世紀、オランダの「チューリップ・バブル」

を例にすると、

縞模様の入った珍しい球根一つに、

家一軒分の値段がついた。

生産以上に「欲しい人」が増え、

聞きつけた投機家たちもどんどん群がり、

価格は上昇していった。

上昇相場の中にいる時、

全員が「自分は儲かっている」と確信している。

最後に取引された「価格」こそが、

自分の資産価値だと信じ込んでいた。

しかし、いずれ価格は崩壊し、

人々は球根1つと家一軒分は

過剰すぎるバブルだったと振り返った。


こうしていままで幾度となく、

バブルが繰り返されてきた。


「〇〇バブルがはじけて、多くの富が失われた」

と表現されるが、正確には富は失われていない。

共同幻想的な妄想がなくなっただけである。


オルカンやタワマンも

いまの価格以上で将来売れると信じているが、

共同幻想がなくなった段階で、価格は崩壊する。

これが「値段(価格)」の正体である。

ただし、その価値は失われていないのだ。


2. ガソリンの価値は変わらない

もうひとつ、具体例を挙げよう。

ガソリンの「価値(効用)」は、

リッター140円の時も180円の時も変わらない。

車を〇km/L走らせるという価値は一定だ。

しかし、

中東情勢という「外部の変数」によって、

その値段が上下している。


これが値段と価値の違いだ。


私たちは新NISAなど、

ネット証券のマイページで

眺めている「評価額」という数字。

これも「価格」に過ぎない。


政府お墨付きを御旗にして、

新NISAに投資している我々も

利回りだけで見て、運用先を決め、

売却時に価格(値段)が上がっていることを

期待する行為である。


チューリップの球根1つを

家一軒と交換した人々は、

最後に何を見たのだろうか。


私たちは、画面上の数字だけではなく、

そのものの本質「モノの価値(効用)」

という実態を見失ってはならない。



2026年3月28日土曜日

椅子を奪い合うか、椅子を守り抜くか


2040年、

これまで当たり前に享受してきた

公的・民間サービスを

受けられる人と受けらない人が

でてくる未来がやってくる。


いわゆる「8がけ社会」の到来だ。


働き手が2割減り、

社会全体の生産力が決定的に不足する。

それは、1億2千万人が限られた

リソースを奪い合う

椅子取りゲームの始まりだ。


「お金がある者だけが、パンを口にできる」

「都市に住む者だけが、医療を受けられる」


そんなさらなる格差社会の到来は

もはや不可避なのか?

 

①カネを増やすことが、救いになるのか

現在、政府は「NISAで資産を増やしましょう」

と個人に促している。


しかし、マクロの視点に立てば、

矛盾に突き当たる


モノとヒトが根本的に不足する未来において、

皆で「カネ」だけを溜め込むとどうなるか?


国民全員の資産が2倍になったとしても、

世の中のパンの生産量が変わらなければ、

パンの値段が2倍になるだけだ。


数字の上での富は、

実質的な力にはなりえない。


今、私たちが力を注ぐべきは、

奪い合うための「カネ」を積むことではなく、

「椅子を減らさないための努力」である。


・販売の無人化

・物流の自動運転化

・定型業務のロボット化


これらは単なる省人化の技術ではない。

未来の誰かの幸せを支えるための

”社会的な蓄積”である。


②「値段」と「価値」の違いとは

中東情勢による原油高など、

「悪いインフレ」が私たちの生活を蝕んでいる。

ガソリン代や電気代の高騰は、

あらゆる商品の値上げが忍び寄る。


ここで立ち止まって考えてみる。

ガソリンの値段は上がっても、

そのガソリンがもたらす「効用(価値)」

は1ミリも増えていない。


新築マンションも食品も、

価値は変わらないまま、

ただ値段という価格だけが膨れ上がっていく。


その元凶は、

目に見える数字を追い求めてきた

「マネー至上主義」だ。


本来、物価や賃金の上昇は、

そこに新しい「付加価値」が伴ってこそ、

社会の進歩と言える。


③守るべき「日本の資産」とは

日本には、世界に誇れる価値が

まだたくさん残っている。


良好な治安、行き届いた公衆衛生、

そして豊かな山河。

これらは、通帳に並ぶ数字よりも大事な

私たちの”生存の基盤”だ。


これらの価値を次世代へ引き継ぐためには、

「ヒト」とというリソースを

どう配分していくかが重要だ。


その意味では国や自治体の役割は大きい

なぜなら政策や予算の配分が

ヒトの流れに大きな影響を与えるからだ。


今、蓄積すべきは「カネ」ではなく、

社会を動かし続ける「仕組み」である。


格差や少子化を防ぐ小さな一歩は

"マネー至上主義"とは違う価値観を

社会が共有することだ。


<過去ブログ>

15年後の未来

8がけ社会

クラックから光は注ぐ








 

2026年3月22日日曜日

読んで良かったゼ本[2026その1]


最近読んで良かった本を紹介!










お金のむこうに人がいる(田内学)


私たちは”自分のお金”に一喜一憂するが、

お金そのものは食べられないし、家も建てない。

 お金を払うという行為の向こう側には、

必ず「誰かの労働」がある。


☆この本はスゴく刺さった。

「自分さえ良ければ」という感覚から、

「良い社会を次世代に贈る」という

 視点の転向を与えてくれた。

 お金の向こう側という

 これからの経済の本質を考える。

 ぜひ読むべき1冊。

   



2030年 来るべき世界

 (エマニュエル・トッド)


 2030年に向けて、世界は

 イデオロギーの対立ではなく、

 より深い「文化の型」の衝突へと向かう。

  現状のニュースを追うだけでは見えない

「底流」を知ること。 


☆すごく洞察の深い一冊。

 「西洋の敗北」も良かったが

 彼の人類学的な視点は欠かせない

 他と違う「思考の物差し」となる。 









「頭がいい」とは何か?(勅使河原真衣)


「頭の良さ」を個人のスペック(スキル)として

 捉える時代は終わった。 

 著者が説くのは、

 これからは計算が速い、知識が多いといった

「出力の効率」を競うのではなく、

 周囲との関係性の中で

 機能する「知性」の在り方

 がより重要になる。 

 みんなちょっとずつ「頭が悪い」ところ

 認め合い、問いを手放さずに

 生きていける社会を目指すこと。 


☆良い指南を与えてくれる1冊。









木挽町の仇討ち(永井紗耶子)


 江戸時代の仇討ちをテーマにした

 連作短編集。 

 真相を追う中で見えてくるのは、

 登場人物たちの徹底した

 「所作」と「身の処し方」だ。


☆最後まで真相がわからない

 現代人が失いつつある

 「筋を通す」という生き方の美しさ

 を教えてくれる。









生きる言葉(俵万智)


 日常の何気ない風景を、

 これほどまでに鮮やかに、

 かつ深く切り取れるものか。 

 俵氏の言葉は、説明(スキル)ではなく、

 共鳴(センス)を呼び起こす。 


☆言葉の「鮮度」と「誠実さ」を

 問い直させてくれる、

 俵さんの短歌をベースにした

「生きるための言葉」たちは美しい。 

 



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