2026年5月30日土曜日

"売りたくない"が示す未来


今回はインフレについて考えてみよう。


15年前、3000万円だったマンションが、

同じ場所、同じ間取りで今販売されると

5000万円を超える場合が多い。


なぜ、2000万円も上がるのだろう?


建材が高くなった。人件費が上がった。

それもあるが、

自分は売りたくないの積み上げと分析する。


"売りたくない指数“と命名してみる。


価格が上がる背景には、サプライチェーン全体に

広がる「売りたくない」という感情がある。

- 地主は「土地を安く売りたくない」

- ゼネコンは「工事を安く請けたくない」

- 建材メーカーは「材料を安く納入したくない」

- デベロッパーは

「マンションを安く販売したくない」

この「売りたくない」が、

需要に対する供給制限を背景に

川上から川下まで積み重なっていく。


そして最終的に、

エンドユーザーには2000万円増の

価格で販売される。


他を見渡してもそれ以下で売っていないので

エンドユーザーは

「これからもっと上がるかもしれないし、

 それで今買うしかない」という判断を下す。


今の市場は、完全に売り手優位だ。

インフレ、人材不足、資材高騰

安くすると、ニーズが高まり、

生産が追いつかなくなるから

売りたくないを価格で提示する。


今は「売りたくない」が強まっている。


では、慢性的な人手不足の未来に向けて

価格はずっと上がり続けるのか?


そうとは限らない。


経済の原則はシンプルだ。


高くて買い手が減れば、

「値段を下げて売るしかない」

に天秤⚖️は傾く。


これが需給バランスだ。


**潮目が変わる兆し**


再開発に沸く東京でも、変化の兆しが出てきた。

・帝国ホテル建替計画の延期

・グランドプリンスホテル新高輪

 の再開発スケジュール見直し


これらは、単なるプロジェクトの遅延ではない。


オフィス賃料が上がり続ける東京でも、

今の建設費では不動産の収益が割に合わない

と判断され始めている。


発注者たちが、

「その高額な価格では買いません。」と言い始めた。


この動きが連鎖すると、

"売りたくない"の潮目が変わる。


ゼネコンは売り上げ確保のために、

競合との安値受注合戦に戻り、

往年の発注者優位側に天秤が

再び傾くかもしれない。


ただし、従来と違う一つ重要な点がある。


生産力は戻らない。


8がけ社会では、大工も職人も減り続けている。

建設費が大きく下がることはない。


「売りたくない」を価格で示すのは、

ビジネスの論理としては正しい。


しかし、

その重みを、私たちは考えているだろうか?


その価格が社会全体の負担になるとき、

それは倫理の問題に関わる。


潮目は必ず変わる。


そのとき、横柄な真似をしていた者は淘汰され、

誠実に価値を提供し続けた者が生き残る

願わくば

そういった未来であってほしい。