2011年10月10日月曜日

その時ひとはどう動いたか

先週のNHKスペシャルは参考になった。

タイトルは”巨大津波 その時ひとはどう動いたか”

東日本大震災で多くの被害を出した名取市閖上(ゆりあげ)地区。
(モラリストの友人も住んでいる。)

この地区は地震発生から津波到達まで1時間以上あったが、
多くの住民が犠牲になった。

その理由を住民の地震から津波到達までの行動パターンを
5000人以上分析し、人間の心理について3つ警鐘している。

その3つとは
”正常時バイアス”、”愛他行動”、”同調バイアス”この3つである。

①まず「正常時バイアス」とは、危険が迫っても非難したがらない性向のこと。
自分が異常事態に陥っているのに、それを認めるのがいやで、
あたかも正常な状態にいるのだと、自分を思いこかせる性向のことをいう。

住民のなかには、自分たちはなにがあっても安全なのだと、
あたかも自己催眠に陥っているような人たちもいた。

閖上には海岸線に平行して貞山掘というものが掘られているが、
これが地震から自分たちを守ってくれるのだ。
”津波は貞山掘を超えては来ない。”
という言わば”都市伝説”のようなものがあった。

②「愛他行動」とは、極度の混乱の中で困った人を見ると、
放ってはおけないという強い気持ちが働き、
それが結果的に自分自身を危険にさらすという性向だ。
住民の中には、近所の年寄りを助けようとして
自分が死んだという人が結構な数に上った。

③「同調バイアス」とは明らかに危険が迫っていることは理解できるのだが、
大勢の人が同じことをしていれば、なんとなく安心してしまう。
たとえば大規模な交通渋滞が起こっているのに、
いつまでも渋滞の中にとどまってしまうような性向だ。

海岸線から近い公民館に留まって、
犠牲になった人は”周りにたくさん人がいたから安全だと思った。”
こういう人も多かったという。

上記のような人の心理行動に対する対策はほとんどされていないと言う。

東日本大震災のような激甚災害の場合は、
周りの人の行動に合わせるより、
自分の五感をフル回転して、行動する必要がある。