──8がけ社会が突きつける「仕事の再定義」
先日のNHKクローズアップ現代
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<2026/7/8放送>
<2026/6/29放送>
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[公務員不足]
全国的に採用難が深刻化
地方自治体では、採用試験の倍率が1倍を
切るケースも出始めている。
[看護師不足]
2040年に28万人不足
高齢化が加速する一方、看護師の担い手は
増えない。需要と供給の乖離は、
今後さらに拡大する。
この二つの職種に共通するのは何か。
「社会インフラの担い手」であること。
公務員は行政サービスという社会インフラを支え、
看護師は医療という社会インフラを支える。
どちらが欠けても、社会は回らない。
「カネを良くしたら、ヒトが戻るのか?」
番組でも、待遇改善という解決策が語られていた。
給料を上げたら、本当にヒトが戻るのか?
答えは「一時的にはYES、長期的にはNO」
看護師の給与を上げれば、
他の産業から人材が流入するかもしれない。
しかし、それは結局人材という
パイを奪い合うチキンレースに過ぎない。
介護が給与を上げれば、飲食から人が来る。
看護が給与を上げれば、介護から人が来る。
公務員が給与を上げれば、民間から人が来る。
しかし、パイ全体は増えない。
8がけ社会では、働く人間の総数が減り続ける。
給与競争は、問題を先送りしているだけだ。
フィジカルAIという「一般的な解決策」
番組でも、AIやロボットの活用が解決策として
挙げられていた。
これは正しい方向だ。
・定型的な書類処理→AIが担う
・体力を要する患者の移動→介護ロボットが担う
・インフラの点検業務→ドローンが担う
・窓口対応の一部→AIチャットボットが担う
定型業務をロボットに任せることで、
人間は対面・判断・共感が
必要な仕事に集中できる。
しかし、これは多くの人が語っている
「一般的な解決策」だ。
私が深掘りしたいのは、その先だ。
①「仕事のボーダレス化」
という発想の転換
8がけ社会を本当に乗り越えるためには、
「仕事」という概念そのものを
再定義する必要がある。
①「準看護」という概念の拡張
看護師が28万人不足するなら、
看護師の仕事の一部を「家族・地域」に
開放することも考えるべきだ。
すでにその萌芽はある。コロナ禍で、
一部の家族が「在宅での点滴管理」
「経管栄養」「傷の処置」を学んだ。
「準看護資格」を家族単位で取得できる仕組み。
・3日間の研修で
「家族内限定の基礎ケア資格」を取得
・対象者の家族に限り、
点滴・服薬管理・バイタルチェックを許可
・オンラインで看護師がリモート監修
もちろん医療安全や法的整備が前提
であり、すべての医療行為を家族に任せる
という意味ではない。
専門職が担うべき領域を守りつつ、
周辺業務を支える仕組みを考えたい
看護師の仕事を「専門職だけが担うもの」から
「地域と家族が一部担うもの」へ。
これは、医療の「脱専門家独占」への一歩だ。
②インフラ維持の「地域担当制」
公務員不足で最も深刻なのは、
地方のインフラ維持だ。
道路の亀裂、橋梁の老朽化、水道管の劣化
——これらの「発見」は、
専門知識がなくても可能だ。
地域住民が「インフラ見守り隊」を担う仕組み。
・地域の道路・公園・水道を住民が週1回巡回
・スマホアプリで異常を報告(写真+GPS)
・報告に応じてポイント付与(地域通貨・税控除)
モラリストが従事している建設業の視点でいうと
構造物の「異常の発見」と
「修繕の判断・施工」は、別のスキルだ。
前者は住民に任せられる。
後者だけを専門家が担えばいい。
「発見」を地域に、「解決」を専門家に。
この分業が、公務員不足の
インフラ維持問題を緩和する現実的な道だ。
③「プロの仕事」の再定義
ここまで考えると、一つの問いが浮かぶ。
「プロフェッショナルの仕事」とは何か?
かつては「専門知識を持つこと」が
プロの定義だった。
しかし、8がけ社会では、
専門知識の一部は:
・AIが代替し
・ロボットが代替し
・家族・地域が一部担う
その先に残るプロの仕事は何か。
「判断・共感・責任」だ。
看護師が本当にプロとして担うべきは、
体温を測ることではなく、
「この患者に今何が必要か」を判断することだ。
公務員が本当にプロとして担うべきは、
書類を処理することではなく、
「この地域に今何が必要か」を考えることだ。
人間にしかできない仕事に集中する。
8がけ社会の「仕事の地図」を描き直す
2040年、日本の労働力は2割減る。
しかし、社会インフラへの需要は減らない。
むしろ、高齢化で増える。
この矛盾を解くのは、
給与競争でも、単純なロボット化でもない。
「仕事の地図」を描き直すことだ。
・型業務 → AI・ロボット
・発見・見守り → 地域・家族
・基礎的ケア → 準専門家(家族・ボランティア)
・判断・共感・責任 → プロフェッショナル
この4層構造が機能したとき、
28万人の看護師不足は
「28万人の専門的判断者不足」という、
より解決可能な問題に変換される。
これらの取り組みは「仕事の質の低下」ではない。
「仕事の再配置」だ。
椅子を奪い合うのでも、
守るのでもなく、椅子の形を変える。
それが、
8がけ社会を乗り越える道になりうる。
