2026年8月8日土曜日

転職しなかった理由

 

−会社ではなく

 その組織を選択−


23年間、一度も転職しなかった。

その話をすると、こう聞かれる。

「その仕事が向いていたんですね」

「転職する勇気がなかったんですか?」


どちらもちょっと違う。


自分が一つの組織に残り続けた

理由はもっとシンプルだ。


その組織が、最もリターンの

良い選択と思え続けたからである。



就職氷河期世代の選択


自分は就職氷河期世代だ。

同年代には、非正規雇用を選ばざるを

得なかった人もたくさんいた。


転職市場も今ほど活発ではなかった。


しかし、上記の理由だけで

「一社に勤め続けた」のではない。


理由は以下だ。


①大きな組織は

「人材の図書館」である


大企業に所属する価値は、

建物でもブランドでもないと思っている。

**人的リソースの充実だ**

法務の専門家。

技術者。

営業。

財務。

品質管理。

安全管理。


それぞれが長い経験を積んだ

優秀なプロフェッショナルが

各部門に配置されている。


分からないことがあれば、

組織内の誰かが答えを持っている。


私はこの環境を、

人材の図書館」だと思っている。


本を読むように、人から学べる。

これは、大きな組織ならではの財産だ。


②見えない資産が

 静かに積み上がる


2つ目の理由は社会的信用だ。

長く同じ組織で働く人は、

* 銀行から信用される。

* 取引先からも信用される。

これらは履歴書にはあまり書かれないが

最大の無形資産と言える。


他の組織が個人を評価する場合、

「どこで、どれだけ働き続けているか」

を評価対象とする場合が多いのだ。


信用とは、一日で得られるものではない。

時間という複利で増えていく資産だ。


③ 管理職になって見えた景色


最後に挙げる理由は

若いうちは、自分の仕事しか見えない。

「この仕事は向いていない。」

「部署を変わりたい。」

自分もそんなことを何度か思った。


しかし、管理職になって見えた景色もある。

組織は、一人の力では動かない。

売上も、利益も、人材育成も、

多くの人の力を束ねて初めて成果になる。


担当者だった頃には見えなかった世界だった。

もし20代であっさり辞めていたら、

この景色は知らなかったかもしれない。


転職を否定しない

もちろん、転職が正解になることもある。

価値観が合わない。

成長できない。

健康を損なう。

そんな環境なら、離れる検討や行動も必要だ。


私が伝えたいのは、

「転職するな」ではない。

一社に残ることも、転職もどちらも戦略である。


感情だけで決めるのではなく、

今の給料で決めるのでもなく

5/10年先に

自分にとって意味があるのかを考えてみる。


8がけ社会では、

「壊れにくい組織」が

価値になる


人口が減る。

働き手も減る。

企業の廃業も増える。


そんな時代は

組織を見る視点も変わるはずだ。


組織内に大企業のような

優秀な人材がたくさんいなくても、

AIが補ってくれることで

個人が大きな組織同様の

アウトプットができる未来がやってくる。


となると、

選ぶ基準は以下のようになる。

その組織が

・10年後、20年後も社会に

 必要とされる存在なのか。

・新しい事業を生み出せるのか。

・人を育て続けられるのか。


自分はたまたま

フラットに天秤⚖️にかけて

23年間残留しただけだ。


しかし今後の自分を取り巻く変化は

いままでより大きい。

・AIで個人の生産性が劇的に向上する

・コドモがあと数年で独立

・金融資本が充実してきている


就職氷河期の時のように

会社から選ばれるのではなく、

今後は自分自身が

組織を選択する番だと考えている。


需給バランスで翻弄された

就職氷河期世代のささやかな逆襲

なのかもしれない。