2025年12月6日土曜日

停滞の代償


今年のノーベル経済学賞を受賞した

研究内容は学ぶものが多い。


ひと言でいえば

「イノベーションが長期的な成長をどう生み出し、

 どう止まってしまうのか」

を解き明かした研究に与えられた。


アギオン=ハウィットの成長モデルでは、

・新しい企業・技術が出てくる

・古い企業・技術が市場から退出する

・その「入れ替わり(創造的破壊)」が

 生産性と所得を押し上げる

 というメカニズムが成長のエンジンだ。


日本に落とし込みをすると、、

「失われた30年」では、

ゾンビ企業が業界に居座ることで、

本来伸びるべき健全な企業の投資や雇用が

抑え込まれ、生産性の伸びが低下した

といった構図が、

多くの実証研究で指摘されている。


成長は単なる発明の数ではなく、

「新しい知を積み上げ、

 応用し続けることを良しとする文化」と、

それを支える制度

がそろってはじめて持続的になる


つまり、予算を増やせばOKではなく、

・学問・研究の自由

・異分野・異業種の人材の行き来

・失敗してもやり直せる起業・転職環境

こうした文化・制度面の整備がセットでないと、

カネを投じても成長につながりにくい。


また人口が減る局面ほど、

イノベーションの重要性は増す


「いまは衣食住が満たされているから、

 成長などを求めず、

 人間らしい昔ながらの生活で

 みんなで静かに暮らていこう」

 という発想は、停滞の温床となり、

 人口減少局面での悪手である。


良くも悪くも我々は資本主義経済

の中で生きている。


成長は人々の工夫の総和である。

人口減少時代こそ、環境への配慮をしつつ、

一人あたりの生産性を上げる

イノベーションの成長戦略こそが

唯一の選択肢と言える。


停滞することは減退すると同じことだ。

”失われた30年”で

日本は代償を払いながら大いに学習した。


だれもがスマホを

手放せなくなったように

進化への変化や経済成長を否定せず、

しなやかに対応していくことが

個人として大切である。


月並み言葉だが、大切なのは

「変化を肯定する」ことである。


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