2026年9月26日土曜日

AI時代の生きるチカラ

─問題は「奪われるか」ではなく

 「どこに配分するか」だ


AIの性能が、ものすごい勢いで向上している。

しかもコストはどんどん下がっている。


文章を書く。資料を作る。

市場を分析する。プログラムを書く。


こうした知的労働の一部は

加速度的にAIに置き換わっていくだろう。


すると、

「大変だ!AIに仕事を奪われる!」という

話になりがちだ。


自分は、少し違う見方をしている。🧐

今回はこれを深堀りしてみる。


人間の労働総量は、

かなり予測できる


AI時代を考えるうえで、

まず注目したいのは「人間が働ける総量」だ。


人口動態は、かなり精度よく予測できる。


20年後に何人が働く世代にいるか。

えんやす村でいえば、

2040年には100人が80人になる。


問題は、AIが仕事を奪うかどうかではない。


限られた人間の労働力を、どこに配分するか。

これが本質だ。


村人80人が全員パソコンの前に座ったら?


村人80人のうち、70人がパソコンの前で

AIを使いながら株の分析や動画制作を

していたらどうなるか。


一方で——

食料を作る人。電気を作る人。

家を建てる人。介護をする人。


こうした人が足りなくなったら、

どうなるだろう。


AIによって知的労働の生産性が100倍になっても、

パンが100倍になるわけではない。


AIによって知的労働の生産性が上がるほど、

逆に「人間をどこに置くか」が重要になる。



AIと人間の3段階分担


私はAIと人間の仕事を、3段階で考えている。


①考える・企画する → AIが強くなる

情報収集、分析、シミュレーション。

ここはAIが人間を圧倒する場面が増える。


②仕組みにする・人を集める → 人間の重要性が残る

「本当にやるのか?」「誰とやるのか?」

「反対する人とどう調整する?」

人間同士の信頼関係が必要な領域だ。


③現実世界で実行する → 人間+ロボット

土地を取得する。建物を建てる。

患者を介護する。作物を育てる。

最後まで「現実世界」を動かす必要がある。


「とくし丸」が示すヒント

移動スーパーの「とくし丸」が面白い。

AIで「どの地域に需要があるか」

「何を積むか」「どのルートか」は分析できる。

しかし、実際に車を走らせ、

商品を届け、高齢者に「今日は元気ですね」

と声をかける——そこには人間がいる。


AIが周辺業務を引き受けることで、

人間は**「人間にしかできない部分」**

に集中できる。


私自身の仕事を考えてみる


AIに「この工事をどう進めればいい?」

と聞ける。

工程表も、リスク分析も、AIにしてもらえる。


しかし現場には、

職人がいる。設計者がいる。

発注者がいる。近隣住民がいる。

そして予想外の問題が起きる。


人を集め、意見をまとめ、決断し、現場を動かす。


これは施工管理という仕事の、

かなり本質的な部分だ。

AIでは完結しにくい。



AI時代に価値が高まるもの


「知っている」だけなら、AIに聞けばいい。

では、何が残るのか。


●人と協力するチカラ

——一人ではできないことを仲間と実現する

●対立を解消するチカラ

——意見が違う人を排除せず、前へ進める

●責任を引き受けるチカラ

——最後に決め、結果を負う

●現実を動かすチカラ

——企画だけでなく、実際に人とモノを動かす


AIより賢くなる必要はない。

AIに任せられる部分はAIに任せればいい。

AIを使って、現実を動かせる人になる。


AI時代の本当の問いとは

「パソコンの中だけで完結する仕事」

の比重が下がり、

「現実世界を動かす仕事」の価値が

相対的に高まる。


8がけ社会では、

この変化がさらに重要になる。


人間が減る。

だからこそ、誰に、

どんな仕事をしてもらうかを

考えなければならない。


AI時代の本当の問いは——

「AIが仕事を奪うか?」ではない。


「限られた人間を、

 社会にとって必要な仕事へ、

 どう配分するか?」

なのではないだろうか。



【補足】

「これからなにを学んだら良いですが?」

 の問いには、自分ならこう答える。

 →多くのヒトと接して

  協力してなにかを成し遂げる。

 (スポーツやBBQでもOK)

 →同調性の高い組織だけでなく、

  多様性のある組織に身をおいてみる。

 (公立学校でもまれる/外国に行く)


逆に、居心地の良い

おひとり様活動(ゲーム・動画視聴

ネットフリックス)ばかりしていると

リアル社会での適用力を損なう懸念がある。

↑依存度によるが、これらはおやつ🍭の

ようなもので、ゴハンとのバランスを整えないと

偏ったモノの過剰摂取はカラダに良くないモノと

認識した方が良い。


〈過去ブログ〉

・絶対なくならない仕事

・8がけ社会

・僕たちの範囲を広げる








 

ナガサキのサキ― 長崎旅行編 ―【特別編】

 

今回、長崎を初めて訪れた。


福岡と長崎を続けて旅行してみて、

ずいぶん性格が違うことに気づいた。






福岡が、

「これから大きくなっていく都市」

だとすれば、

長崎は、

「これまで積み重ねてきた歴史を、

 これからどう生かしていくのか」

という街に見えた。


長崎という「坂の街」


長崎市の人口は約40万人。

福岡市の約167万人と比べると、

都市の規模はかなり違う。


長崎の街を歩いて最初に感じたのが、

「坂の街」ということだ。

・山が海まで迫っている。

・平地が少ない。

そのため、街が平面的に広がるのではなく、

斜面に沿って住宅や建物が広がっている。

★ホテルからの眺め







坂の街が生み出すもの


坂の上に住宅がある。

坂を下れば商店街や中心市街地がある。

そのため、坂の上の住人は

日常生活の中でも坂を移動することになる。

オランダ坂






歴史が街そのものに残っている


そして長崎の最大の特徴は、

やはり歴史だ。


出島から分かるように

ポルトガル人が来航し、

出島にはオランダ人が滞在した。

中国との交流もあった。

そして、長崎港は海外との交易を支える

重要な港として発展してきた。


つまり長崎は、昔から

「海外と日本をつなぐ街」

だった。


造船の街

もう一つ、

長崎を語るうえで外せないのが造船だ。

長崎を歩いていると、

港と造船の存在感を感じる。







長崎の近代化には、

造船業が大きく関わってきた。

明治以降、近代産業の発展とともに

造船所が整備された。

それは三菱重工の聖地であり、

「防衛産業・艦艇建造」という

重大な国防産業を担ってきた。

「ものをつくる街」

としての長崎の歴史もある。



観光都市としての長崎


一方で、現在の長崎を支える

大きな産業の一つが観光だ。

今回、

・出島

・大浦天主堂

・グラバー園

・スタジアムシティ

・平和公園

・稲佐山

などを訪れた。

★出島






★大浦天主堂






★グラバー園






★平和公園








★稲佐山からの夜景







★トルコライス






★ちりんちりんあいす








単純な「観光地」というより、

長崎という街の歴史そのものが

観光資源になっている。

これが長崎の強みだ。



「歴史」が観光資源


長崎の観光には、いくつかの異なるテーマがある。

・海外との交流の歴史

・キリスト教の歴史

・近代化の歴史

・原爆の歴史。

・そして、港町としての歴史

これだけ違うテーマが

一つの都市に存在している。

これは大きな観光資源だ。


長崎そのものが、

一つの歴史博物館のような街だ。



街の暮らし


観光客として歩いていると、

長崎の街はとても魅力的だ。

しかし、暮らすという視点で見ると、

また違った側面が見えてくる。

坂が多い。

買い物やごみ出しにも坂の移動が必要になる。

自転車で走っているヒトはほぼいない。


観光地としての魅力が高いことと、

住民にとって暮らしやすいことは、

必ずしも同じではない。


住民だけではなく、ゴミ収集や

荷物の配達員など、住民サービスには

この街特有の難しさがあることも

忘れてはならない。


長崎の交通


長崎から博多まで鉄道を利用した。

長崎駅から武雄温泉まで西九州新幹線。

そこから在来線に乗り換えて博多へ向かった。

★西九州新幹線かもめ






西九州新幹線が整備されたことで、

長崎と九州の他地域との移動は

以前より便利になった。

ただ、乗り換え(武雄温泉駅)など課題もある。


また港には韓国からきている大きな船舶の

停留を見かけた。

アジアからのアクセスの良さも大きな武器だ。


★韓国からの船舶







長崎のミライ


長崎の未来には

大きく二つの方向があるように思う。


一つは、

「歴史・観光都市としての長崎」

もう一つは、

「港・造船・産業都市としての長崎」

だ。


これらをどう組み合わせるか。

長崎の未来を考えるポイントになる。


観光客が増えても、

そこで暮らす人が減り続ければ、

街を維持することは難しくなる。


だからこそ、

長崎で暮らす人を減らさないこと。

が重要になる。


長崎スタジアムシティ

新しい人の流れを生み出す場所になっている。

歴史的な観光地だけではなく、

駅周辺も含め、「新しい長崎」

をつくろうという流れを感じた。

そこには若者の雇用も生まれ、

地元サポーターという磁力にもつながる。


★スタジアムシティ












★スタジアム内部







福岡とは違う「強さ」


福岡は、人が集まることで、

これからさらに大きくなっていく街。


一方の長崎は、

これまで積み重ねてきた歴史

そのものが価値になっている街。

・福岡には「人」。

・長崎には「歴史」。

そして両方に「アジアとの近さ」がある。


「ナガサキのサキ」は、

 どこへ向かうのか。


人口が減っても、

歴史の価値は減らない。

人が減っても、

街の魅力を失わない方法はある。

それは面白い都市であり続けること。


長崎は「過去の街」ではない。

むしろ、

「過去を資産にして、次の時代をつくる街」

になりうる。


これが、「ナガサキのサキ」に繋がる

羅針盤になると感じた。


<旅行記 過去ブログ>

ハカタのミライ― 福岡旅行編 ―【特別編】

 

シルバーウィークを利用して、

福岡・長崎・太宰府・柳川を旅行してきた。


香港・深圳を訪れたときと同じように、

単なる観光ではなく、

「この街は、

 これからどう発展していくのだろう?」

という視点で、街を歩いてみた。


まずは福岡の街を歩いてみて

感じたことを、少し整理してみたい。






九州の「中心」


福岡市は、2026年時点で人口約167万人。

街を歩いてみると、

人口が増えている都市らしい活気を感じる。


福岡市は4つの区に人口が集中しており、

周辺市町村も多い。

九州の北の玄関口として、

都市機能が集積している。


「九州の中心都市」という言葉だけではなく、

実際に歩いてみても、

人・店・交通が一つの場所に

集まっていることがよく分かる。

★JR博多駅







★天神地区






圧倒的「利便性」


福岡の大きな強みの一つが交通だ。

圧倒的に近い福岡空港。

博多港ターミナルそして博多駅。

空港から都心へのアクセスが抜群によく、

船舶は韓国釜山からの定期運行便。

そして博多駅は新幹線・在来線・私鉄と

交通網が充実している。


アジアからの観光客がとても多い。

福岡は、”九州の中心”であるが、

”アジアから日本へ入ってくる玄関口”

でもある。


この二つの役割を持っていることは、

福岡の大きな強みだ。


都市の「強み」


福岡で感じたのは、

東京や大阪とは

少し違う都市の成長の仕方をしていることだ。


東京・大阪から距離がある一方で、

九州の中では福岡への人の流れが強い。

九州の他県から福岡へ出てくる人も多い。

進学や就職を考えたときに、

「福岡に行く」という

選択肢が若い世代の中で存在感を持っている。


これは都市にとって非常に大きい。

・人が集まれば、店ができる。

・店ができれば、さらに人が集まる。

・仕事が生まれれば、また人が集まる。


こうした好循環を感じた。


★繁栄の中州







「食」の街


そして、福岡といえば食だ。

今回の旅行でも、食のレベルの高さを感じた。

・とんこつラーメン

・鶏料理

・海鮮

 そして、

 その他にもご当地の食べ物がたくさんある。


観光地を訪れるだけではなく、

「食べに行く」こと自体が

福岡を訪れる理由になる。


★ShinShinラーメン






★明太レタス巻(八兵衛)







★水炊き料理(源次郎)










★鯖のごま味噌あえ(八兵衛)







街を歩いて感じた「若さ」


もう一つ印象に残ったのが、

街を歩いている人の若さだった。

・若い人が多い

・ショップにも若い人が多い

・街全体に活気がある


一方で、観光地としては東京や京都ほど

「観光客だらけ」という感じはしなかった。

そこも福岡の面白いところだと思う。

観光都市でありながら、

普通に人が暮らしている都市でもある。


★大名地区でのイベント







★中州屋台の賑わい






★キャナルシティ






糸島という「自然資源」


福岡のもう一つの魅力は、

都市のすぐ近くに自然があることだ。

車で約40分ほど走れば糸島に行くことができる。


今回、糸島を訪れたが、

海や自然の中で過ごすことができる。

マリンスポーツなども楽しめる。

大都市でありながら、

少し移動すれば自然に触れられる。

この距離感は、福岡で暮らす魅力の一つだ。


★桜井二見ケ浦(糸島)






★JA糸島産直市場







街を歩いて気づいたこと


アジアからの訪日客の影響は感じる。

ブランドショップには外国人観光客も多い。

そして、キャナルシティ博多も

今なお多くの外国人で賑わっていた。


ただ、観光客だけに依存しているというより、

地元の人、九州各地から来る人、

国内観光客、アジアからの観光客。

いろいろな人が混ざっている。


この「人の多様性」が

福岡の強さなのかもしれない。


もうひとつ

若いヒトはカップルよりも

友人同士で歩くヒトが多いと思った。


超再開発「天神ビッグバン」


そして、福岡の未来を

考えるうえで気になったのが、

現在進んでいる大規模な街づくりだ。


今回、天神周辺を歩いてみると、

街そのものが

変わろうとしていることを感じた。

天神ビッグバンで天神地区では

大規模な再開発が進んでいる。

そして博多駅周辺でも

「博多コネクティッド」という

再開発が今後進められる計画だ。


もはや福岡は、「今、人が多い街」

というだけではない。


街そのものを作り替えようとしている。

2030年代に入っても、

こうした街の変化は

続いていくのではないかと感じた。


★天神ビックバンの中心エリア






★天神はいまも再開発中







「支店経済」の次へ


福岡はこれまで、

九州における大企業の支店経済の

中心として発展してきた。

しかし、

これからは少し違う形になるのではないか。


今回、感じた福岡の可能性は、

① 九州各県からの人の流入

 九州の他県から、

 進学・就職・買い物・観光などで

 人が福岡に集まる。

② アジアからの人の流入

 韓国や中国など、

 アジアとの近さを生かして

 外国人観光客が入ってくる。


 この二つの「人の流れ」を持っていることは、

 支店経済ではなく、自力で磁力をもつ

 都市として変貌をしていく。



人・モノ・カネが集まる街


香港でも感じたが、

都市が成長するためには、

人が必要だ。

人が集まれば、

モノが動く。

モノが動けば、

お金も動く。


そして、お金が動けば、

金融や新しいビジネスも生まれる。


ハカタのミライ


日本全体では、これから人口減少が進んでいく。

・九州の中心

・アジアへの玄関口

・若い人が集まる街

・食の街

・自然にも近い街

 そして、これからも続く都市開発。


今回、実際に福岡を歩いてみて、

東京・大阪に次ぐ、

10年後に発展する都市の筆頭と感じた。


「ハカタのミライ」は、

まだまだ面白くなりそうだ。


<旅行記 過去ブログ>


2026年9月19日土曜日

えんやす村のおはなし

──お金・外貨・借金の本質を考える


ここは100人の村。

その名も「えんやす村」。

村人たちは温厚で勤勉。


20年前までは、自動車やラジカセをせっせと作り、

「Made in E」の製品は、

他の村で飛ぶように売れていました。


ところが、この村には困ったことがあります。

石油もLNGも小麦も、あまり採れない。

そこで、必要なものを他の村から買っています。



となりの大きな町「どるだか町」


えんやす村の隣には、

「どるだか町」という、

とても大きな町があります。

町長は、ときどき他の村にちょっかいを出したり、

派手な発言をしたりします。


それでも、町の経済力は圧倒的。

世界中の村が、

どるだか町の動向を気にしています。


えんやす村も、昔はどるだか町に自動車や

電化製品をたくさん売っていました。


その結果、どるだか町のお金を

たくさん持つようになりました。


ところが、、

最近は事情が変わりました。

えんやす村と同じような製品を、

他の村でも作れるようになったからです。


以前ほど、えんやす村の製品は売れません。



円安という問題


えんやす村とどるだか町では、

それぞれ別のお金を使っています。

その交換レートは変動制です。


昔は、

えんやす村のお金100円

=どるだか町のお金1ドル

くらいだったとします。


ところが今は、

200円=1ドルになりました。


つまり、

えんやす村のお金の価値が、

どるだか町のお金に対して

半分になってしまいました。


いわゆる「円安」です。


すると何が起きるのでしょうか。



Dphoneが高くなる


どるだか町で作られた

スマホ「Dphone」は、えんやす村でも大人気。

昔は10円だったDphoneが、

今では20円必要になりました。


どるだか町へ旅行するにも、

以前の2倍のお金が必要です。


もうひとつ困ったことがあります。

えんやす村は、石油やLNG、

小麦などを海外から買っています。


円の価値が下がれば、

輸入するために必要なお金が増える。


その結果、

パンも、電気も、ガソリンも高くなる。


つまり円安は、

「外国の商品が高くなる」

だけではありません。


輸入に頼っている国では、

国内の生活コストまで押し上げてしまう。



外貨とは何なのか?


ここで少し考えてみます。

「外貨って、いったい何なのだろう?」


えんやす村がどるだか町のお金を持っている。

これは単なる紙切れを

持っているわけではありません。


そのお金を使えば、

どるだか町の人が作った商品を買える。

サービスを受けられる。

企業を買うこともできる。


つまり外貨とは、

「外国の人たちが生み出す商品・

 サービス・資産にアクセスするための権利」

と考えることができます。


ここが大切です。

お金の向こうには人がいる

1ドル札を見ているだけでは、

「ただのお金」に見えます。


しかし、その1ドルで

スマホを買える。

旅行ができる。

サービスを受けられる。


なぜでしょう?


その裏側で、

どるだか町の人が働いているからです。


だから、

外貨を持つということは、

外国の人々が生み出す価値に

対する請求権を持つこと

とも言えます。


逆に言えば、

えんやす村が外国から

モノを買い続けるだけでは、

外貨はどんどん流出していきます。


だからえんやす村は、

自動車

半導体

精密機械

食品

観光

コンテンツ

文化

など、

「外国の人がお金を払ってでも欲しいもの」

を作り続けなければなりません。


結局、国の強さとは、

お金をたくさん持っていることではない。

「外国の人に何を提供できるか」

なのです。


えんやす村の

「借金」はどうなのか?


ここで、えんやす村の財政を見てみます。

・村の借金(国債):1,200万円

・どるだか村のお金(外貨):300万円

・村人たちの貯蓄:2,600万円


一見すると、

「借金1,200万円もある。大丈夫なのか?」

と思います。


しかし、

誰から借りているのか?

を見る必要があります。


もし1,200万円の国債を、

ほとんど村人自身が持っていたら、


村の中では、

「政府の借金」=「村人の金融資産」

でもあります。


政府から見れば負債。

村人から見れば資産。


だから単純に、

「国の借金=国民全体の借金」

と考えるのは少し違います。



「国内で持っていれば

 絶対安心」ではない


ここは注意が必要です。


国債を村人が持っているからといって、

何をしても大丈夫

というわけではありません。


国債が増えすぎれば、

・利払い費が増える

・金利上昇の影響を受ける

・民間への資金供給を圧迫する

・インフレにつながる可能性がある

などの問題が出てきます。


そして、もっと重要なのが、

「村全体で、何を生産できるのか」

です。


紙のお金や国債をいくら増やしても、

パンを作る人がいなければパンは増えません。

電気を作る人がいなければ電気も増えません。



2040年のえんやす村


そして、ここで「8がけ社会」が登場します。


現在100人いる村人が、

2040年には80人になってしまいました。

働く人も減りました。


パンを作る人も、

家を建てる人も、

介護をする人も、

道路を直す人も、

20%減っています。


さて。

この村で、

国債が5倍なったらどうなるでしょう?


借金は雪だるま式に増えていき、

その分利払いも増えるので、

村の税収の多くを利払いに充てる

ことになります。

それでは成り立たないので

村の予算を増やし、国債も増やしていきます


インフレは加速していきます。


ただお金(金融)だけをみていると

問題の本質は見えてきません。


紙の上では、お金は増えます。

しかし、

人間は増えません。

これが8がけ社会の怖さです。



本当の国の財産とは何か


ここで、えんやす村の財産を考えてみます。

国債でしょうか。

現金でしょうか。

外貨でしょうか。


もちろん、それらも重要です。


でも、本当の意味で村を支えているのは、

村人が持っている技術や知識。

働く能力。

企業が生み出す製品。

インフラ。

教育。

信頼。


そして、

「他の村からお金を払ってでも欲しい」

と思われる価値。

なのではないでしょうか。



えんやす村が目指すべきこと


100人の村が80人になる。

これは避けられない。

だったら、

80人で100人分の価値を生み出す。


あるいは、

80人だからこそ生み出せる価値を考える。


そして、これからは、

「人が減っても社会を回せる仕組み」

そのものも輸出できるかもしれません。



えんやす村から学ぶこと


この小さな村の話から、

3つのことを考えました。


①円安は「日本の価値」が問われる現象

円安になると輸入品は高くなる。

しかし、それだけではありません。

「外国の人が日本の商品やサービスに

 どれだけ価値を感じるのか」

という問題でもあります。


②国の借金は「誰から借りているか」が重要

政府の借金を見るとき、

金額だけを見るのではなく、

誰が国債を持っているのか。

を見る必要があります。

国内で循環している借金と、

外国に対する債務では意味が違います。


ただし、

国内保有だから無条件に安全

という話でもありません。


③8がけ社会では

「稼ぐ力」がますます重要になる

人口が100人から80人になる。

だったら、

一人ひとりが生み出す価値を高める。

そして、

外国から必要なものを買えるだけの

稼ぐ力を維持する。


これが、国を「壊れにくくする」

ために必要なのだと思います。


お金の向こうには人がいる

・1万円札の向こうには、

 そのお金を受け取る人がいる。

・国債の向こうには、

 それを持っている人がいる。

・外貨の向こうには、

 その国で働く人がいる。

 

そして円安の向こうにも、

日本と外国の人々が、何を作り、

何を交換するのかという現実がある。


結局、

お金だけを見ていても、

経済の本質は見えてこない。


その向こう側で、

誰が働き、

何を作り、

誰がそれを必要としているのか。

そこまで考えてみる。


それが、

「お金の向こうに人がいる」

ということを伝えるお話しでした。😉








 

2026年9月12日土曜日

敗者の選択


──「悪すぎない」を選ぶ生き方


金利が上昇し続けている。

住宅ローンを組んだ家庭への影響は、

じわじわと広がっていく。


一般的な4人家族のマイホームモデルは、

厳しいフェーズに入りつつある。


私たちはどんなマインドで

生きていけばいいのか。



「勝ち組」を目指すことの罠


世の中は「勝ち組/負け組」

という言葉が好きだ。


・年収1,000万円以上が勝ち組

・タワマンに住めば勝ち組

・早期リタイアできれば勝ち組


しかし、金利上昇/インフレの状況で

大きく勝つことを目指すことには

リスクが伴う。


「大きく勝とうとするほど、

 壊れやすくなる」からだ。


・株価が上がり続けると信じて

 レバレッジをかける。

・FIREを目指して全資産を
 
 高リターン商品に集中投資する。

これらはすべて、「大きく勝つ」ための選択だ。

しかし裏を返せば、

「環境が少し変わっただけで壊れる」選択でもある。



テニスの「敗者の美学」


ここで一つの比喩を使いたい。

テニスで相手のサーブを受けるとき、

二つの戦略がある。

一つは、リターンエースを狙うこと。

強打で一発逆転を狙う。成功すれば派手だ。

しかし失敗すれば即失点。リスクは高い。

もう一つは、ラリーを続けること。

とにかく返し続ける。相手のミスを待つ。

大きなポイントは取れないが、

ゲームに残り続けられる。

「大きく勝とうとしない」ことで、

ゲームに参加し続けられる。

これが「敗者の選択」の本質だ。



「悪すぎない」という戦略

「敗者の選択」を
 
もう少し具体的に言い換えてみよう。

それは、「悪すぎない」を選び続けることだ。

・最高の家は求めない。
 しかし「住めない家」は選ばない
・最高のクルマは求めない。
 しかし「壊れる車」は選ばない
・最高のリターンは求めない。
 しかし「全損するリスク」は取らない


「最高」を求めないからこそ、

環境が変わっても動ける。

金利が上がっても返せる。

株価が下がっても慌てない。

「悪すぎない」選択の積み重ねが、

壊れにくい人生を作る。


「壊れにくい」とは
 どういうことか


「壊れにくい」とは、

環境が変わっても動じないことだ。

金利が上がっても返せる住宅ローン。

株価が下がっても慌てない資産配分。

収入が下がっても維持できる生活水準。

これらは、「欲望を我慢した結果」ではない。

「長く続けるための設計」だ。


「惜敗」を積み重ねる


人生は、一発勝負ではない。

20代の試合が終わっても、

30代の試合がある。

40代の試合があり、

50代、60代にも試合がある。

だから、


一度の大勝ちにすべてを賭ける必要はない。

ラリーを続ければいい。


勝てなくても、

次の試合に出られるなら、それでいい。


気がつけば、

「悪すぎない」という選択の積み重ねが、

人生を守ってくれている


それが敗者の哲学である。







 

2026年9月5日土曜日

読んで良かったゼ本[2026その3]

 

最近良かった本を紹介!









①北極星 僕たちはどう働くか[西野亮廣 著]


『夢と金』から3年ぶりとなるビジネス書。

 34時間で4億8,000万円を集めた

 クラウドファンディングや、ブロードウェイ

 舞台のプロデューサーなど、日本人が誰も

 経験していないスケールの挑戦から得た

 知見を詰め込んだ一冊。


☆前作に続き、独特なキレ味のある内容。

 特に事業投資型クラウドファンディングや

「迷いと悩みは別モノ。」といった見解は

 秀逸である。

















 [麻布競馬場 著]

 地方から夢を抱いて東京に出てきた若者たちの

「その後」を描く22の短編集。

 スケールの挑戦から得た知見を詰め込んだ一冊。

 高学歴・大企業に入ったはずなのに、

 虚しさと諦念の中で生きる都市生活者の姿を

 独白体で鮮烈に切り取る。

 

☆高学歴だけど社会に馴染めない若者。

 背伸びして都会で暮らしてるけど

 ドロップアウトしかかってるヒト。

 みんな満たされていないという共通点がある。

 タワマン文学として秀逸である。











 




③人文知は武器になる[山口周・深井龍之介 著]

 AIが「正解を出すこと」を代替していく時代に

 哲学・歴史・文学などの

「人文知」こそが武器になると説く対談本。

 山口周氏が「美意識」「アート思考」

 の観点から、ビジネスパーソンに求められる

「Whyを問う力」と「問いを立てる力」

 を語り合う。


☆「何をできるか」より「なぜするか」。

 先のブログで紹介した"能力より希少性"の

 着想はここにある。

















④多類婚姻譚[凪良ゆう]

 現代における愛と婚姻の5つの物語

 セクシュアリティ、金銭感覚、

 世代間格差、成育環境など、

 ブログ希少性論の原点はここにある。

 あらゆる価値観が対立する中で

「一緒に生きること」の難しさと祈りを描く。

☆結婚という人生の大イベントを通して

 地方出身者の「重力」や23区出身者の

「身軽さ」を鮮やかに描く。
 
 オススメな一冊






 [泉房穂・福田充 著]

 泉房穂氏が危機管理学者・福田充と対談。

 国民負担率が5割近くに達した日本で、

 なぜ国民の生活は豊かにならないのか。

 税制・社会保障・地方自治の歪みを解明し、

「企業を応援する政治から 

 国民を応援する政治へ」

 の転換を具体的な政策論とともに提示する。


☆「中負担・低福祉」という

 日本の構造解説論は腑に落ちた。

 お金を再分配する公的役割の重要性は

 理解していたつもりだか、泉さんの

 持論はさらに社会派の政治家として

    参考になる。















 麻布競馬場が描く「東京の孤独」

 凪良氏が描く「一緒に生きることの難しさ」

 この2冊は、

 現代社会で、他人との繋がりを維持する

 難しさを今風に表している。

 都会で軽やかに生きていける

 "箱"は用意されているのに

 なぜか社会でうまくやれない。

 本を読む中で思ったのは

 人々の暗黙知という要因もあるのではないか?

 スキルとセンスの領域で言えば

 センスの領域。

 AI利用ではなく、コドモのうちから

 たくさんヒトと接すること

 言わば他流試合をすることで

 学べる領域と言える。

 
 

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2026年9月1日火曜日

目に見えないものに委ねない【特別編】

──ブラックボックス化する世界と

 「個人のレジリエンス」


9月1日は「防災の日」だ。


しかし今年の防災の日に、

私が考えたいのは備蓄の量でも避難経路でもない。


もっと根本的な問いである

「私たちは今、どれだけ自分で考え、

 判断できているのか。」



便利さと引き換えに失った

「中身のわかる世界」


ふと見回すと、私たちの身の回りには

「目に見えないもの」「仕組みが分からないもの」

が溢れている。


かつて、家電や機械は壊れても裏蓋を開ければ

仕組みがなんとなく分かった。

簡単な修理なら自分でできた。


しかし現代の製品は

高度にブラックボックス化し、

不具合が起きれば専門業者に依存するしかない。


そして今、

そのブラックボックス化の最高峰として

私たちの生活に深く根を下ろしているのが

——**AI(人工知能)**だ。


手のひらのスマホを開けば、

AIが次の行動を提案し、文章を整え、

最適なルートを指示してくれる。

私たちは思考のコストを削減し、

圧倒的な利便性を享受している。


しかし、ここで一つの問いを投げかけたい。


「仕組みも分からない巨大なブラックボックスに、

 私たちは自分の生活や判断を

 どこまで委ねていいのだろうか?」


社会の脆弱性と「生命力の低下」


社会全体がAIやデジタルインフラに

過度に依存した構造は、極めて脆弱だ。


万が一、大規模なサイバー攻撃や

未曾有の自然災害によって電源喪失が起きれば、

社会機能は一瞬で麻痺する。


どれほど優秀なAIであっても、

電気という一次インフラが絶たれれば、

ただの無機質な箱に過ぎない。


災害時に私たちが真に確保すべきなのは

「高度なアルゴリズム」ではなく、

命を繋ぐ「水」と「電源」だ。


しかし問題は社会構造だけにとどまらない。


個人レベルの「人間性」や「生命力」にも

及んでいる。


何でもAIやスマホに頼り、自ら考えたり、

身体を動かす機会を放棄し続けると、

個人の生存力(レジリエンス)は衰退していく。


思考や判断を外部のブラックボックスに

丸投げした状態は、危機に瀕したとき、

あまりにも無力だ。


個人のレジリエンスを

高める2つの処方箋


非常時に大切な人を守るために、

私たちが今すぐ取り組むべきは

「個人のレジリエンス(立ち直る力・適応力)」

を高めることだ。


そのためには、

二つのアプローチが必要だと考える。



①物理的備蓄の確保

 ──インフラのバックアップ


スマホの画面上でどれだけ情報を持っていても、

水が出なければ生きられない。


水と非常用トイレの確保: 

最低でも数日分の飲用水と衛生環境を保つ備蓄

アナログな手段の確保: 

電源が落ちても機能するポータブルバッテリー、

手回しラジオ、アナログな地図


これらは「念のため」ではなく、

「必ず来る日のため」の準備だ。


インフラは必ず老朽化し、

必ず想定外の事態が起きる。

「まさか」は、いつか「やはり」になる。



②「デジタル断ち」による

 自力の再構築


AIやスマホを使わない「自力」を鍛えること。


体力と直感力:

自分の足で歩き、

現場の状況変化を五感で察知する力

判断力と決断力:

  検索結果やAIの提示に頼らず

「今、どう行動すべきか」を

自分の頭で考え抜く習慣


週末に一度、スマホもAIも一切使わずに

1日を過ごしてみることは有用だ。


自分がどれほど外部の端末に判断を

委ねていたかに気づくはずだ。

同時に、五感を使って考え、行動する感覚

——いわば「野生の生命力」が呼び覚まされる。


「個人が強くなること」が

「社会を強くすること」だ


個人のレジリエンスを高めることは、

単なる「自己防衛」や「打算」ではない。


自力で生き延びる力を持つ人間が増えれば、

その分だけ公的支援や救助の手を、

本当に助けを必要としている高齢者や子ども、

負傷者へと振り向けることがきる。


「個人が強くなること」は、

社会全体の「共助の力」を

高めることに直結している。

8がけ社会では、行政や専門機関の救助(公助)

に限界がある。


一人ひとりが

「自分の足で立ち、判断できる個」となり、

お互いを支え合うこと。


それこそが、縮小していく社会を生き抜く作法だ。


田内学さんの言葉を思い出す。

「お金の向こうに人がいる。」

同じように、災害の向こうにも、人がいる。

停電した街の向こうに、水が届かない家庭がある。

道路が寸断された集落の向こうに、

助けを待っている人がいる。


AIもスマホも使えない極限の状況で、

最後に頼れるのは——

自分の判断力と、隣にいる人間だ。



結び──今日という日に


目に見えない便利すぎるシステムに、

全幅の信頼を置くのはやめよう。


防災の日に、自宅の備蓄を点検するとともに、

自分自身の「生命力」と「判断力」の現在地を、

静かに見つめ直してみたい。


壊れにくい社会は、

壊れにくい個人の集まりから生まれる。


★まもなくアジア大会!